『天気の子』(2019)
帆高:齋藤潤 / 陽菜:當真あみ
【作品内容】
離島から家出し、東京にやってきた高校生・森嶋帆高と、「祈るだけで晴れにできる力」を持っている少女・天野陽菜が出会い、共に過ごしていく時間の中で、それぞれの生き方と向き合い、人生を選び取っていく。
【注目ポイント】
主人公・帆高を一言で表すと「世間知らずで無鉄砲」に尽きる。家出したはいいものの、身分証を提示できないゆえに、東京で雇ってもらえるところもなく、東京行きのフェリーで偶然出会ったライターの須賀のお世話になることに。基本、生真面目な性格ではあるが、見ていてハラハラする。
感情を爆発させたときのパワーは桁違いである帆高。もし『天気の子』が実写化されたら、帆高役には、映画『カラオケ行こ!』(2024)でブレイクした齋藤潤をコンバートしたい。
『室井慎次 敗れざる者』(2024)でも重要な役を任された齋藤は、目下、成長過程にある。見るたびに違う顔を見せる齋藤の成長ぶりには目を見張るものがあるが、ひとつの作品の中で、心身共に成長していく帆高を演じるには打ってつけの人材だろう。
そして、神秘的な力で晴天を呼び込む「晴れ女」陽菜役には、映画『水は海に向かって流れる』(2023)や日曜劇場『さよやらマエストロ』(2024、TBS系)といった話題作で忘れがたい存在感を発揮した、若手女優・當真あみを推したい。
陽菜は、母を亡くし、弟と二人で暮らす責任感が強い中学3年生の女の子。強さが際立つように見えるが、お金がなく、まともに食べることができない帆高にビックマックをごちそうしてあげるなど、随所で優しさを見せる。
陽菜の特徴はどんなことがあっても損なわれない透明感だろう。気が強いタイプではあるが、我を通すというよりかは、誰かのための強くなる、という側面がある。當真のキャラクターに重なる。澄んだ眼差しの奥に芯の強さを感じさせる。