劇中のセリフを流用した残虐行為が衝撃的
『チャイル・ドプレイ』(1988)
監督:トム・ホランド
脚本:ドン・マンシーニ
原案:ドン・マンシーニ
出演:キャサリン・ヒックス、クリス・サランドン
【作品内容】
殺人鬼チャールズは死の間際に自身の魂を人形に移す。その人形を6歳の息子アンディの誕生日プレゼントとして購入した母のカレンの周りでは、その後、親友の転落死など次々と奇怪な事件が起き始める…。
【注目ポイント】
呪われた人形「チャッキー」が凶行に及ぶ、それまでになかったスプラッター映画として注目された本作は、ショッキングな描写のオンパレードで、「たかが人形」と高を括って観ているとしっぺ返しにあう一作だ。
監督を務めたのは、1980年代~1990年代にかけてホラー界に革新をもたらし、観客を魅了する独特の視点やスタイルで高く評価されたトム・ホランド。公開されるや、斬新な設定と迫真の恐怖演出が話題を集め、スマッシュヒットを記録。その後、立て続けに続編が製作され、2019年にはリメイク版が公開された。
第1作目のあらすじは次の通りだ。
6歳の少年アンディは誕生日に母のカレンから「グッドガイ」人形をプレゼントされる。しかし、その人形・通称チャッキーには殺人鬼のチャールズ・リー・レイの魂が宿っていた。チャッキーの異変にいち早く気づいたアンディは、そのことを大人に伝えても信じてもらえない。そんな中、人形の体で次々と殺人を重ねていくチャッキーは徐々に人間化していく…。
呪われた人形「チャッキー」が無邪気な外見とは裏腹に残虐な殺人行為を繰り返すサマが恐怖心を煽る本作が公開された1980年代後半は、欧米を中心に、暴力的な映画やビデオゲームが急増しており、青少年への悪影響が社会問題となっていた。
本作もまた、現実の犯罪に影響を与えた作品としても知られている。3人の男女が16歳の少女スザンヌ・キャッパーを監禁、残虐な拷問の末に死に至らしめた事件だ。犯人たちが「やぁ、僕チャッキー。遊ぶかい?」といった劇中のチャッキーのセリフを引用して残虐行為を行ったことがマスコミによって明らかになると、世間は震撼した。
幸い、映画『チャイル・ドプレイ』を上映中止に追い込もうという動きは見られなかったが、この事件が与えたインパクトは発生から30年以上経った現在でも消えていない。