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若者が集うサブカルの聖地へ

味園ビル
味園ビル2F。写真:田中稲

 しかし、時代の流れは容赦ない。80年代後半にはディスコが全盛となり、キャバレーはさらに下火に。加えて1990年代半ばから長期化した不況にも泣き、2階のスナック街は、テナントフロアの大半が空き物件、半ばゴーストタウン状態となってしまった。大浴場とサウナも閉鎖となっている。
 
 しかし2000年半ばごろから、味園ビルに活気が戻る。大人の歓楽街だった千日前はタウン情報誌などの流行もあり「裏なんば」と呼ばれるようになり、レトロな雰囲気を求める若者たちから注目が集まるようになっていったのだ。

 さらに運営側がテナント料を下げたことにより、空きだらけだった味園ビルのテナントに、ユニークなテーマをもってバーやギャラリーを始める人も増えていく。そうしていつしか、尖った歓声を持つ若者たちの、サブカルチャーの発信地に変貌していった。

 ただ、残念ながらキャバレー「ユニバース」は時代の変化を乗り越えられず、2011年に営業終了。独特の宇宙を表現したインテリアはそのまま残し、貸しホールとして生まれ変わった。

 独特のアンダーグラウンドな雰囲気を活かしたライブやイベントが開催され、こちらも人気となっていく。筆者も何度か訪れたが、惑星のようなライトがきらめき、アーティストの音楽やパフォーマンスとからまって、自分がどこにいるのかわからないような、不思議な気分になったものだ。

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