石原さとみにあてがきした「日本ドラマ最高傑作」
そんな石原さとみの歴史の中でも「異質」と言われる作品が、2018年に放送されたドラマ『アンナチュラル』(TBS系)だ。
「不条理な死」を遂げた遺体を解剖し、その謎を究明する機関「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台としたヒューマンサスペンスだ。その高い作品性に、アンナチュラルを「日本ドラマ最高傑作」だと呼ぶ声も多い。
あくまでも遺体とその関係者にスポットを当てており、だからこそ1話ごとの濃度が深まり高い没入感を生み出しているのだが、石原さとみが演じたのは誰よりも「不条理な死」を憎む解剖医・三澄ミコト。
これまでの役のような感情をありのまま表に出す人物ではないのだが、主人公であると同時にストーリーテラーの役割を持ち、被害者、遺体に寄り添い淡々と「プロ」として仕事をするその姿は、これまで石原さとみが演じた女性の中で最も「自然」だと思った。
脚本家の野木亜紀子から「あてがきにした」と言われるほど彼女の素の部分が出ている役ではないだろうか。