17歳で衝撃の卒業
ダンスを得意とする鞘師だが、歌を苦手とすることもない。パワフルで感情の乗った素晴らしい歌唱力の持ち主である。それもあってか、曲の歌割りが多く、ライブDVDなどでは特権的な被写体となっており、カリスマ性を遺憾なく発揮していた。
おそらく当時、ファンの多くは「鞘師里保がいればモーニング娘。の未来は安泰だ」「鞘師里保が今後のグループを引っ張っていくに違いない」と、誰もが感じていたはずだ。
というのも、当時のモーニング娘。は道重さゆみがリーダーだったのだが、道重は6期生で、それ以外のメンバーは全員9~11期生だった。両者の年齢差は約10歳差にも及んでいたからである。道重はあの時点でモーニング娘。歴代最長在籍記録を残していた伝説のリーダーであり、彼女が卒業した後、ほぼ10代半ばのメンバーばかりの新生モーニング娘。がどうなっていくかは、ファンの関心事だった。
しかし、鞘師は道重が卒業した後わずか1年で自身も卒業してしまったのである。当時まだ17歳。これはファンにとって、青天の霹靂と言ってもいい、衝撃的な出来事であった。今年で結成27周年になるモーニング娘。において、もし歴史を振り返る企画があるとすれば、必ず取り上げられるだろうセンセーショナルな出来事だった。