豊かな表情筋が作り出す七色の声
佐野勇斗(M!LK)
―――最後に紹介するのは、朝の連続ドラマ小説『おむすび』(NHK総合)に高校球児の四ツ木翔也役で出演されている佐野勇斗さんです。
「佐野さんは、今回の5人の中でも断トツでした。帯域がとても広くて、俳優としても良い声をお持ちだと思います。あと、声がしっかり聞こえているという点もかなりのアドバンテージですね」
―――ちなみに佐野さんは、2024年10月からはじまるドラマ『マイダイアリー』(テレビ朝日系)でギフテッドの役も演じられています。高校球児から知的な役まで演じられる佐野さんの演技の幅は、声によるものなのでしょうか。
「佐野さんの場合、声そのものよりは、顔全体の表情筋の使い方が演技の幅を支えていると思います」
―――表情筋、ですか。
「はい。顔全体の表情筋を使いこなせると、声のトーンの使い分けが比較的容易にできるようになるんですよ。
特に最近は、若い方でもコロナ禍のマスク生活もあって、顔の下半分しか動かない方が多いのですが、佐野さんは顔全体の表情金をしっかりと使えている印象です。表情訓練をしっかりされている証拠ですね」
―――表情訓練とはなんでしょうか。
「音に合わせて表情をコロコロと変える訓練ですね。この訓練を行うと、表情と声をリンクできるようになるので、必修科目にしている事務所もあるようです。
ただ、芸能人のようにわざわざ表情訓練をしなくても、口角を上げて笑うことを心掛けるだけでかなり違います」
―――やっぱり笑顔が重要なんですね。
「はい。口角を挙げて笑うと、口角の周りにある口角挙筋が盛り上がります。一方、口角が上がっていないと口角挙筋が垂れ下がってしまい、べちゃっとした話し方になってしまうんですね。
加えて、口角挙筋が垂れ下がってしまうと、ほうれい線がくっきり見えてしまって、老け顔の原因になります」
―――見た目が若い方は声も若いということですね。
「はい。星野源さんとかもそうですよね。声もフレッシュですが、見た目もどちらかというと童顔で若々しい。
佐野さんも、声と外見が若いままお歳を召されていくと思います」
―――声も筋肉も全てつながっているということですね。ありがとうございました。
(取材・文:編集部)
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