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「パワータイプ」から「繊細な演技派」へ進化する土屋太鳳

『海に眠るダイヤモンド』第4話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第4話 ©TBSスパークル/TBS

 誰よりも他人の感情の機微に敏感だが、そのことを意識的に隠して自由奔放に振る舞う「フリ」をする。2話後半で百合子への想いを口にした鉄平に対して言った「だから賢将を選んだの。私のことを好きな人となんて、いいかげんな気持ちで付き合えないもの」というセリフからも百合子が「誰かを本気で愛する」ということに最も臆病になっていることが読み取れる。

 だとすれば、百合子が本当に好きな相手は鉄平…? また3話で恋人の関係を解消した賢将に対しても、新たな感情が芽生えつつある。いったい百合子の本心はどこにあるのか、回を重ねれば重ねるほど、迷宮のような魅力が増している。その微妙な感情の動きを土屋太鳳は完璧に演じきっていた。

 思えば、初期の土屋太鳳はもっと分かりやすい魅力を持つ「パワータイプ」の俳優だという印象を持っていた。NHK連続テレビ小説『まれ』(2015)の津村希や、ドラマ『チア☆ダン』(TBS系、2018)の藤谷わかばなど、裏表がなく太陽のようなパワーで周りを引っ張っていく、元気ハツラツな役が似合うイメージだった。
 
 個人的に最もそれを感じたのは『オールスター感謝祭2016秋』で人気企画「赤坂5丁目ミニマラソン」に出場した際、男性が途中で音を上げるほど過酷なコースを全力で走り切り全体で「8位」という女性では考えられない成績を収めたあと、過呼吸寸前になりながら「えっと…やっぱこのマラソンを作ってくださった方すごいなって思います…きつくて…でも…あの『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系、2016)…素敵なドラマになってます…本気で見ていただきたいです…はち…はち…あの…本当にあの…途中で本当に死にそうになったんですけど…いや…死ぬかと思ったけど良かったって…」と番宣をした時、そのあまりに全力な姿にこんなにも真っ直ぐな人間が存在するのか、と衝撃を受けた。

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