あまりにもやるせないラストに絶望…
長澤まさみの迫真の演技が光る衝撃作
『MOTHER マザー』(2020年)
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣、港岳彦
出演:長澤まさみ、奥平大兼、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、土村芳、荒巻全紀、大西信満、木野花、阿部サダヲ
【作品内容】
シングルマザーの三隅秋子(長澤まさみ)は、仕事もせずに男から男へ渡り歩く自堕落な生活を送っていた。
彼女しか頼れる存在がいない息子の周平(奥平大兼)は、母親の要求に応えようとするが、やがて、身内からも絶縁され、社会から孤立していく。
そんな中、17歳を迎えた周平は、凄惨な事件を引き起こしてしまう…。
【注目ポイント】
コメディから社会派までさまざまな作品に出演し、今や日本を代表する女優となった長澤まさみ。そんな彼女が、自身のイメージを大きく塗り替えた作品が、この『MOTHER マザー』だ。
本作は、2014年に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得た『誰もボクをみていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』を原案とした映画作品。監督は『まほろ駅前多田便利軒』(2011)や『日日是好日』(2018)で知られる大森立嗣。キャストには、阿部サダヲ、夏帆、仲野太賀、木野花ら実力派のほか、数百人のオーディションを勝ち抜いた演技派、奥平大兼が周平役で出演している。
いわゆる「毒親」を扱った本作。母親の支配から抜け出せない周平は、行く先で保護司と出会い、フリースクールにも通うようになる。しかし、母親のせいで放浪生活に逆戻りし、窃盗に手を染めた上、最終的に祖父母を殺害してしまう。
なんとも悲惨なのは、本作のラストだろう。逮捕され、懲役12年の刑に服した周平。しかし、彼は、この期に及んで、母を想い続ける言葉を保護司に発し続けるのだ。
毒親の呪いからは生涯逃れられない―。そんな絶望が伝わってくる、なんともやるせないラストだ。