深く掘り下げるエイリアンユニバース
あわせて読みたい三冊
『メイキング・オブ・エイリアン』(J・W・リンズラー著、阿部清美訳/玄光社)
ここでは原作小説や映画と深い関りのある本をあえて避けていたのだけれど、『エイリアン』については思い入れがありすぎて「さすがにこれは外せない」3冊があるので紹介したい。
『メイキング・オブ・エイリアン』(J・W・リンズラー著、阿部清美訳/玄光社)は、そのタイトル通り、あの1979年の『エイリアン』の製作過程が綴られた本である。『エイリアン:ロムルス』のクレジットでもあったように『エイリアン』の原案はリドリー・スコットではなくダン・オバノンとロナルド・シャセットの2人である。
『エイリアン』の形ができあがるまでの紆余曲折が語られているが、フランク・ハーバートのSF小説『デューン 砂の惑星』の映画化を進めていたアレハンドロ・ホドロフスキーに呼ばれたダン・オバノンがホドロフスキーと“精神を高めるため”にマリファナを”吸い、ホドロフスキーが「これが悟りだ」と言ったところから始まる本書の冒頭からすこぶる面白い。
また、『エイリアン』に見られる卓越した絵作りと細部まで手の込んだデザインの面では、クリス・フォスからロン・コッブ、実はちょびっとだけしか関わってなかったメビウス、そしてH.R・ギーガーといった面々と映画の関りの詳細も面白い。
なかでも本書に掲載されている絵コンテの数々はリドリー・スコット自らが描いており、その細部まで描き込まれた画力には唸らせられる。