認知症の進んだ父・見知らぬ少年との共同生活
他人のような父親との同居に辟易する日々を送っていたある日、久江との再会を祝い、食事した帰り、2人はある少年(中須翔真)を車ではねてしまう。
お酒が入っていた久江は、飲酒運転をした挙げ句、少年を轢いたとうろたえるが、幸い、命に別条はなかった。
しかし、少年を助けた千紗子は彼の体に虐待の痕を見つけ、しかも彼は全ての記憶を失い、自分の名前さえも言えなかった。
少年が親の虐待を受けていると察知した千紗子は、彼を守るため、久江の反対を押し切り、少年の親代わりとなることを決意。彼に「里谷拓未」と名付ける。
その後、ニュースでは、「犬養洋一」という少年の失跡事件が報じられ、久江は、失跡した少年が拓未ではないかと千紗子に告げる。
千紗子は、捜索活動を続ける地元消防団に話を聞くと、少年の両親は、事件直後に「仕事のため」と言い残し、捜索にも加わらず、東京へと戻ってしまったという。これが事実だとすれば、とんでもないネグレクトだ。
千紗子は、真実を確かめるため、公務員である久江の協力によって、居所を突き止め、NPO職員を名乗り、少年の実家を訪れる。そこでの母親(木竜麻生)、そして内縁関係にあった父親の安雄(安藤政信)の対応で、千紗子は2人が紛れもない“毒親”だと確信する。
少年を守るため、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、父・孝蔵、“息子”拓未との奇妙な共同生活が始まる。