『アンメット』忘れられないベストシーンは? 全11話中、最も心震えた名場面(4)杉咲花と若葉竜也の信頼関係が生んだ奇跡
ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)が完結を迎えた。本作は、主演の杉咲花を筆頭にした名優陣による素晴らしい芝居と、細部まで考え抜かれた演出により、多くの視聴者から愛される名作となった。今回は、全11話の中で最も視聴者を惹きつけた名シーンを5つ厳選してご紹介する。(文・菜本かな)
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
杉咲花と若葉竜也の信頼関係が生んだ奇跡の長回し
第9話「三瓶先生は、私のことを灯してくれました」三瓶に言葉をかけるミヤビ
『アンメット』の名シーンを語る上で、第9話の奇跡のエンディングは欠かすことができない。本作は初回から、キャスト陣のセリフのやり取りがあまりにもナチュラルなので、「これってアドリブ?」なんて声がたびたび上がっていた。
とくに、第6話の注射のシーンなどは杉咲花が素で笑っているように見えたし(これは、のちに脚本どおりだったことが明かされている)、最終話の星前(千葉雄大)と成増(野呂佳代)の「餌付けする気?」からの「しちゃおうかな」「甘えちゃおうかな」というやり取りは「アドリブなのでは…?」と、いまだに思っている。
その中でも、「これが脚本どおりだとは信じがたい…」と思ってしまうほどにリアリティがあったのが、第9話のラストシーン。「僕はまだ光を見つけられていません」と落ち込む三瓶(若葉竜也)に対し、ミヤビ(杉咲花)が「三瓶先生は、私のことを灯してくれました」と言葉をかけた瞬間が、とても生々しくて印象に残ったのだ。のちに、このセリフが杉咲のアドリブだということが明かされたことで、より深みを感じるようになった。
ちなみに、このシーンは長回しかつ一発撮りだったという。現場の緊張感が視聴者にも伝わってくるくらいにヒリヒリしているなかで、杉咲がアドリブをぶち込むことができたのは、“必ず受け入れてくれるはず”という信頼関係が、若葉との間に成り立っていたからこそだろう。杉咲と若葉の名演技はもちろんだが、照明部・撮影部・演出部・録音部、チーム『アンメット』全員の、1カットに懸ける熱い想いが伝わってくる素敵なシーンだった。
(文・菜本かな)
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