ホーム » 投稿 » コラム » 日本映画 » アイドルの”闇”になぜ共感? 男性より女性ファンが多いワケ『【推しの子】』考察レビュー。社会現象アニメの魅力を解説 » Page 2

『【推しの子】』に女性ファンが多いワケ

©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
©赤坂アカ×横槍メンゴ集英社推しの子製作委員会

このように、アイドル人口の増加によって、一般人とアイドルとの距離が親しみやすいものに変わると同時に、他グループや他メンバーとの熾烈な差別化競争という弊害も生み出すこととなった。

一方で『【推しの子】』のアイは、アイドルグループ『B小町』の絶対的センターで、まさしくOP主題歌の歌詞の通り「完璧で究極で天才的なアイドル」である。さらに20歳という若さで何者かに殺され死亡するという、物語からの退場シーンも鮮烈だった。

そう思うと、飽和状態ともマンネリ気味ともいえる令和のアイドル業界とは裏腹に、アイという存在や、彼女を中心としたストーリーは、その設定からして分かりやすく差別化されており、そのドラマティックさが視聴者に夢を見せていると言える。

また、アニメ『【推しの子】』は視聴者の男女比が4:6で、わずかながら女性の方が多い。原作が青年誌であることを踏まえると珍しい数値で、男女まんべんなくファンを獲得したのも大成功の理由だろう。

この背景には、一昔前から時代が変わり、坂道グループやハロー!プロジェクトなど、女性ファンが多いアイドルが台頭してきた時代の流れも関係すると思われる。

異性を推すだけではなく、同性を推すのも当たり前の時代において、女性にとっての女性アイドルは、手は届かないけれどずっと憧れのアイコンのような存在で、生き様や価値観など、同じ女性として人生の手本のような存在でもある。

これらがうまくマッチして『【推しの子】』は社会現象になったのではないだろうか。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!