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ラブマシーンとの花札勝負の行方

『サマーウォーズ』細田守監督、2009年(DVD、バップ、2010年)

【図7】『サマーウォーズ』細田守監督、2009年(DVD、バップ、2010年)

 果たして夏希が解き明かしたパスコードは、栄の誕生日(8月1日)に因む数字「0108」であった【図7】。

 そもそも親戚が一堂に会することになったのは、栄の卒寿の誕生日を祝うためである(そして、それはまた、出奔して久しく行方知らずだった侘助が帰ってきた理由でもある)。映画の序盤のシーンで、健二は得意の数学力を披露するために夏希の誕生日(平成4年7月19日)を尋ね、モジュロ演算を使って曜日の特定を試みていた。

 暗号解読は最初から誕生日と結びついており、二回目にあらわれたときには、それが家族を繋ぎ止める鍵となったのである。したがって、映画の最後に描かれる栄の誕生日会、すなわち大団円を無事に迎えるためには、さらに別の、三つ目の暗号を解かなければならなくなるだろう。

 少々先走ってしまったが、まずは強大な力を持った目の前のラブマシーンをどうにかしなければならない。陣内家にとっては、徳川15万の軍勢に打って出た大坂夏の陣の再来である。そこで健二が提案したのは花札を使った勝負である。

 陣内家の(結果として人類の)代表として、夏希はOZのアカウントを賭けてラブマシーンに花札の勝負を挑む。

(文・伊藤弘了)

【後編はこちら】

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