『無能の鷹』の真骨頂とは
『無能の鷹』の真骨頂といえば、やはり鷹野と社外の人間の商談シーンだろう。鷹野が営業に出れば、必ずアンジャッシュのようなすれ違いコントが繰り広げられる。両者の思惑の食い違いによるトラブルや、それがふいに解決する様子はコミカルながらも実にリアル。
鷹野がいかに頓珍漢なことを言っても、取引相手は、鷹野が持つ有能感に圧倒され、先入観から都合の良い深読みをして、契約が結ばれる。
この傍から見ての“思考の噛み合わなさ”が笑えるのだ。とはいえ、現実でも、元をたどれば言葉足らずによるすれ違いが、最終的に大事に発展するケースは少なくない。『無能の鷹』ではそれらが誇張して、かつポジティブに描かれているが、面白さを覚えるのと同時に、ふと自身のコミュニケーション不足で諍いを引き起こした過去を思い出して反省することもあった。
社会人のリアルをこれでもかと詰め込みながらも、決して重くならずに、苦しむ人の肩の荷をそっと軽くしてくれる『無能の鷹』。あっという間に全8回が過ぎてしまったが、仕事に悩んだ際には、何度でも見返したくなるお仕事ドラマだった。
(文・望月悠木)
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