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杉咲花の芝居がリアルすぎる…”朝子”と宮本信子”いづみ”が重なった瞬間とは? 『海に眠るダイヤモンド』第6話考察レビュー

text by 苫とり子

神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送中。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

人生で一番幸せだったかもしれない日

『海に眠るダイヤモンド』第6話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第6話 ©TBSスパークル/TBS

 あとで振り返ってみると、自分の人生の中で「あの日が人生で一番幸せだったかもしれない」と思う日がある。思い出すだけで笑みが溢れたあと、あの日が二度と帰らないことに気づいて胸が痛くなるような。

『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)第6話で描かれた1963年8月10日は、きっといづみ(宮本信子)にとっての“あの日”なのだろう。

 その日、端島に新しい命が誕生した。鉄平(神木隆之介)の日記に「誠」と記されていた男の子は、リナ(池田エライザ)と進平(斎藤工)の子供だ。

 博多の進駐軍クラブ「フロリダ」で働いていたが、何らかの事情でヤクザに追われる身となり、端島に命からがら逃げてきたリナ。炭鉱夫に紛れてたヤクザの一味の男は進平が放った銃弾に倒れ、今は海に沈んでいる。罪を共有した2人は共に生きていく選択をしたようだ。

 とはいえ、2人は婚姻届を出さず、内縁関係のまま。進平が亡くなった妻・栄子(佐藤めぐみ)の死亡届を提出しておらず、今も婚姻状態であることもそうだが、1番はリナが追われる身ゆえ、戸籍謄本を取りに帰れないことが理由だった。

 そのことを少なからず気にしているリナに、「今度こそ幸せになるとやろ。俺は幸せや、今」と語りかける進平。戦争や妻との死別など、その過酷な人生が顔付きにも現れていた進平だが、リナに向ける表情は穏やかで愛に溢れている。リナもそれをしっかり受け取っていて、「今がいっちゃん幸せ。愛されてるっていうか…」という言葉にこちらまでニヤけてしまいそうになった。

 同時にそう遠くない未来、リナが逃げるように端島を後にしなければならないことが起きると思うと、胸が締め付けられる。これまで悲しい別れを経験し、ようやくまた誰かを愛せるようになった2人にこれ以上、辛い思いはしてほしくない。

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