朝子(杉咲花)といづみ(宮本信子)が重なった瞬間
8月10日は一平にとっても幸せな時間だったことだろう。戦争で3人の子供を亡くし、「あいつの子どもは戦争で一人も死んでない」と辰雄に対して複雑な気持ちを抱いたこともある。
だけど、必死に働いて生き残った鉄平や進平を育てあげ、辰雄の子である賢将のことも実の息子と変わらないように接してきた一平。その結果、進平の子供が生まれ、賢将が本当に愛する人と一緒になるという幸せな瞬間に立ち会うことができた。
身を引き裂かれるような辛いことが人生には多々ある。だけど、地に足をつけて前に進んでいった先には、生きてて良かったと思えるような瞬間が必ず訪れるというメッセージにも思えて、こちらまで背中を押された気分になった。
そしてこの第6話は、本当の意味でいづみが朝子であるという事実が裏付けされた回でもある。これまでは、食堂の看板娘である朝子と、東京で植物関連の会社を経営するいづみがあまり頭の中で結び付かなかった。
だが、コンクリートに囲まれた端島に屋上庭園を作るという一大プロジェウトを指揮し、物怖じしない姿勢で業者と交渉する朝子が、現代で利益ばかり優先し、植物のことを何も考えていない子供たちと正面からぶつかるいづみの姿に重なった。