愁が背負う深い罪と苦しみ
さらに、飛鷹と愁の過去も深堀りされていく。当初、愁が飛鷹に近づいたのは彼が結城真一(平山祐介)から託された“チップ”が目的だった。
一緒に過ごすなかで次第に飛鷹に惹かれていくが、幸せな気持ちが増えていくほどに実感するのは自らの罪の重さだ。お腹の子どもを何者かの画策によって失われたときでさえ、大勢の人を傷つけた罰だと考えてしまうほどだ。
仲がいいのにも関わらず飛鷹と別れたのは、子どもを失ってもまだ幸せでいられる自分がつらかったから。飛鷹の捏造に協力することは、愁にとって“贖罪”だった。未解決事件の被害者や遺族の悲しみを知ることで、苦しみながらも自分の罪の大きさと向き合ってきた愁。痛ましい過去と消せない罪を背負いながらも明るく振る舞っていた彼女の胸中は、とても計り知れない。
サイボーグのように感情をなくし、殺人をもためらわなかった彼女が変わったのは飛鷹の存在があったから。そして、結城を亡くした飛鷹の心の傷を癒したのは、ほかでもない
愁である。
お互いを補い合うような飛鷹と愁の関係性は、役者として同じ時代を戦ってきた戦友でもある反町と観月だからこそ出せた空気感。それだけに、愁が警視庁を出た直後に狙撃される悲痛な展開には思わず目を覆ってしまった。