冬月(深澤辰哉)は救われるのか?
一方で、莉紗がついに行動を起こす。商談相手である宏樹からのメールの内容で、冬月たちの関係に確信を持った莉紗。冬月の大切な人がどんな人か知りたい気持ちで、フリーマーケット参加者への取材と称して美羽と対面する。
何も知らない美羽は“古くからの友人”冬月との思い出を懐かしみながら、「あの時も昔も、いつも救ってくれました」と語る。時折笑みをもこぼすその表情を凍りつかせたのは、莉紗の「冬月は救われましたか?」の一言だった。
冬月を一番近くで見てきた彼女は、彼の苦しみを知っている。そんな莉紗からすれば、美羽は冬月の純粋な恋心を傷つけた女にしか映らないのも当然だろう。
美羽に会いたい一心でアフリカから生きて帰ってきた冬月に対し、結婚して夫も子どももいる美羽。冬月だけが苦しみを被るその理不尽さと、自分の宙に浮いたままの冬月への想いも相まって、余計に美羽を許せない。
地獄の連鎖は止まることを知らず、宏樹と冬月も対峙する。宏樹はフリーマーケットでの美羽の笑顔を忘れられずにいた。美羽を笑顔にしたのは目の前にいる冬月であり、栞の本当の父親もまた冬月。
宏樹の大切なものをさらう憎むべき相手であるが、冬月の優しさに一度触れているから、宏樹の心中はより複雑なものとなる。