優希が日記(マイダイアリー)を書きはじめたきっかけ
緑はまいこに理解してもらい、心に寄り添ってもらうことで自分を変え、まいことの別れを機に見守る側になった。緑は優希にほどよい距離感で寄り添ってきたが、彼女が年長者として優希に贈った最後のアドバイスは日記を書くことであった。
「大切な人に出会ったら 人生の日記をつけてほしい その人との思い出の中で 心に残ったものを写真に撮るの 楽しい思い出も つらい思い出も こんなふうに あとで読み返すと その人が自分にとって どれだけ大切な存在だったか 感じられるから フィルムカメラって撮れる枚数が有限でしょ? それって 大切な人との時間も 同じだと思うから」
フィルムカメラで撮影できる枚数が有限なように、人生も有限である。だけど、大切な人と過ごした時間は時代が変わろうが、自分が変わろうが不変である。
その人と過ごした時間を思い出すことで、自分のことも大切だと思えることもある。あるいは、自分がこれまで辿ってきた道も再確認できる。大切な人との時間は楽しくてもつらくてもかけがえのないものであり、自分を形成している要素なのだ。