兄の背中を押す美路人(坂東龍汰)
洸人が意気消沈して自宅に戻ると、今度は美路人がいない。愁人とさようならも言えぬまま別れてしまったショックから絵が描けなくなってしまった美路人は、観光のために堤防に絵を描くという美路人指名の仕事も「描きたくないです」の一点張りだった。
その資料を美路人の部屋で見つけた洸人は、堤防へと向かう。そこにいた美路人に、洸人は愁人を連れて帰れなかったこと、もう会えないかもしれないことを伝える。そして、「みっくんごめん」と顔を伏せて泣き出してしまった。
美路人は、洸人の背中に遠慮がちに触れながら深呼吸するように促す。「吸って、吐いて…」と繰り返すのは、パニックに陥ったときに、いつも洸人がそうしてくれるから。洸人の思いは、きちんと伝わっている。
そして美路人は「描きます」と、堤防に絵を描く仕事を引き受けることを決めた。前に進もうと思ったのか、洸人を勇気づけたかったのか。いずれにしても、じんわりと心を温めてくれる美路人の決意だった。少なくとも、洸人の背中を押す力にはなったはずだ。
愛生と愁人が連れ去られたかもしれないという絶望。それが離婚の手続きのためとわかった安堵、また一緒に暮らす未来があるかもしれないとする期待。しかし、いまはすべてが打ち砕かれてしまった。好材料があるとすれば、樺島が逮捕されたことだろう。
このままいけば、愁人が名前を手放すことなく生きていける可能性も高い。そのためには一刻も早く、祥吾の悪事が白日の下にさらされなければならない。ここからは工藤や高田(柿澤勇人)の働きにもさらに注目したい。
(文・あまのさき)
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