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若手俳優の活躍が素晴らしかった…大橋和也がもたらす”陽”の空気とは? ドラマ『民王R』最終話考察

text by 田中稲

遠藤憲一が主演を務めるドラマ『民王R』(テレビ朝日系)が完結を迎えた。本作は前作『民王』から9年ぶりの続編。池井戸潤の原作をインスパイアし、総理大臣が全国民を対象に、心と体が入れ替わる痛快政治エンターテインメントだ。今回は、最終話のレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

確かに「インスパイア」なドラマだった

『民王R』最終話©テレビ朝日
『民王R』最終話©テレビ朝日

 遠藤憲一主演の『民王R』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)の最終話が、10日に放送された。仮想世界へ強制トリップ! まさかの『マトリックス』な展開に目が飛び出しそうになってしまった。

 あり得ないはずなのに、「もしかしたら近い未来、こんな事件も起こるかもしれないな」と思ってしまう自分がいる。

 いやはや全話通して、『民王R』は、本当によくできたパラレルワールド体験だった。「くじは諍いを鎮め、手ごわい者を引き分ける」――。入れ替わりの首謀者、成田(中村育二)が言っていたこの言葉、聖書の言葉なのだそうだ。が、毎回、ランダムでトップが決まる世界って、諍いは鎮まれど別のトラブルが起きて大変だとヒシヒシ感じた(泣)。

 9年前の『民王』(2015)の設定をベースに、入れ替わりの範囲を広め、チップ埋め込みによる人工知能の乗っ取りといった陰謀説を絶妙に取り入れ、白鳥翼(溝端淳平)のような実際の政治家のパロディも果敢に取り入れる。

 それを『民王』の主要メンバー(カリヤン&新田⤴)が引き続き支え、暗躍し(貝原)、裏方に回り(翔君)、ニューカマー(マルちゃん、冴島、猫田)が入ることで令和の風を吹かせ…。なるほど、続編でもスピンオフでもない、「インスパイア」という新たな形の進化系を見た気がする。

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