「群馬」が鍵となる?
亮子と粒来の関係性が気になりつつ、今回、興味を惹かれたのは「ラベルを貼る」ということだ。
「ゴッホの絵なら価値がある」「ゴッホの絵じゃないのなら価値はない」
様々な立場の人がそれぞれの思惑で動いて発言し、大衆はそれに引っ張られる。絵画に精通した権威のある人が何か言えば、それまで真実とされていたことでも簡単にひっくり返る。
こんな状況では、もはや言ったもの勝ちではないか。
しかし、今回の件で言えば、「ゴッホか否か」だけで議論されている時点で、作品そのものと向き合っているとは言い難い。結局、人々が見ているのは「ラベル」だけであって、中身はどうでもいいんじゃないか、なんて。
この「ラベル」によっては莫大なお金も動くし、全てを失う可能性だってある。そんな諸刃の剣でありながら、人はラベルを貼りたがる。ラベルがある方が安心だからだ。自分の意識だけではぼやけてしまいそうな輪郭が、ラベルをつけて、誰かに認識してもらうことで自我が安定する、ということなのかもしれない。
そして、見る側も同じこと。大半の人は中身なんてどうでもよくて、ラベルを見ているのではないか、だとしたら、人ってあまりに空っぽすぎないだろうか。と、言いつつ、自分だって、いろんなものに貼られているラベルを見て安心しているのも間違いない。
さて、大いに考えさせられたが、ドラマ終盤のキーワードとなりそうなのが「群馬」。この事件から約10年後、粒来が群馬で何かしらの事件に関わっていたことが分かる。と、同時に、群馬から亮子を訪ねて女性(前田敦子)が大草圭子法律事務所に現れた。
一体、群馬に何があるのだろうか。
(文・ふくだりょうこ)
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