加瀬殺しの犯人が明らかに
捜査が行き詰まるなか、“なりすまし”というワードをきっかけに物語が大きく動き出す。真っ先に反応し、表情を曇らせたのは不破。門真のメールの差出人がオクラにタレコミを送った人物と同一ネット環境だったことやドライブレコーダーの録画から、飛鷹が加勢殺しの犯人であると気づいてしまうのだ。
「『俺は殺してない』って言ってくださいよ…」
そう告げる不破の目には、涙が溜まっていた。「信じたくない」という悲しみから「なぜ」という怒りに変わる感情のグラデーションが、演じる杉野の表情や声色で繊細に表現され、胸が張り裂けそうな気持ちになる。序盤のクールで合理的な不破とは別人のような熱にも、涙腺を刺激されてしまうシーンだ。
「俺たちの目的は罪を犯した人間を法の下に引きずり出すことだ 証拠が見つかったら誰であろうとためらうな 必ず捕まえろ」など、これまでの飛鷹のセリフは不破に真相を突き止められたがっているようにも聞こえる。「あなたが自分の正義に背いたその時は、容赦なく引き金を引く」と不破に言われたあの日から、今日のような時が来ることを覚悟していたのかもしれない。
加勢が首都爆破テロ事件の首謀者だとすれば、彼を殺してチップを奪った飛鷹はテロを止めようと画策していることになるだろう。だからといって殺人を犯していいわけではないが、話し合いに応じない加勢への最終手段だったと推測できる。飛鷹の行動は、行き過ぎた“正義”なのだろうか。彼のことだから、すべてが筋書き通りである可能性も高いが…。
すべての黒幕、首都爆破テロ事件の目的、そして「HIDE&SEEK」の実態とは。また、愁を狙撃した犯人も謎のままだ。次週はついに最終回。彼らが手にする結末を最後まで見届けたい。
(文・西本沙織)
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