道長のまひろへの想いが溢れ出た瞬間に鳥肌…ラスト1話で大河ドラマ『光る君へ』が届けたいこととは? 第47話考察レビュー
text by 苫とり子
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。大宰府で刀伊の入寇に巻き込まれたまひろ。一方、朝廷では、撃退した隆家たちへの褒賞をめぐり対立が起きる。今回は、第47話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
周明(松下洸平)の生存を望む人続出
太宰府で周明(松下洸平)と再会を果たし、再び心を通わせるまひろ(吉高由里子)。だがその矢先、刀伊の入寇に巻き込まれ、敵の攻撃により目の前で周明を失うという悲劇が襲う。
悲痛な叫びを上げながら、周明のもとに駆け寄るまひろだが、このままここにいては危ないと判断した乙丸(矢部太郎)に引きずられるようにその場を後にした。前回の放送後にX(旧Twitter)では、「#周明の生存ルートを考える会」というハッシュタグが誕生。多くの人たちが一縷の望みをかけ、周明が生き残る道を探ってきた。決して登場回は多い方ではなかったが、それだけ視聴者に愛されていた証拠でもある。
しかし、その希望も虚しく周明は息を引き取った。遺体が回収されたわけではないが、公式サイトに掲載されているキャストインタビュー動画『君かたり』で、松下が「周明の最期を演じて」の思いを明かしていることからも、周明が亡くなったことは疑いようもない事実だ。まひろが去った後、周明の頬に一筋の涙が伝う。その涙には哀しみだけではなく、乙丸に連れられていくまひろを見て、ホッとした気持ちもあったのではないだろうか。
それと同じように、周明は単に日本と中国という2つの国に翻弄された悲劇的な人物として描かれていたわけじゃない。まひろとの交流を通じて、言葉や文化は違っても心と心を通わせられるということ、思いやりや愛情も持てるということを、周明を演じる松下がその身で体現していた。