まひろを必要としている人々
まひろは自分が思う以上に、たくさんの人から大事に思われている。朝廷にも攻撃による被害状況が伝わり、まひろを心配していた道長(柄本佑)。「先頃、まだ太宰府にいると文がありました」と賢子(南沙良)を通じてまひろの無事を確認した時の表情が実に印象的だ。
これまで何度も緊張感のある場を経験してきた道長だが、そのとき以上に心から安堵した表情は見たことがない。民のことはもちろんだが、道長にとっては何よりもまひろが大事なのだ。
彰子(見上愛)は帰ってきたまひろに、太宰府で起きたことをいつか物語にして読ませてほしい、旅の疲れを癒したら再び女房として自分に仕えてほしいと頼む。彼女はまひろに何があったのかを知っているわけではない。
だが、喜んで旅立ったはずのまひろが暗く沈んだ表情をしているのを見て、なんとなく辛いことがあったのを察したのだろう。その上で、まひろをこの世に引き留めておくための役目を与えたのではないだろうか。
自分の役目は全て果たし終えたと思っていたまひろ。だけど、まだまだ彼女を必要としている人間はたくさんいることを実感し、そのことを身をもって教えてくれたとも言える周明が微笑んでいる姿が目に映るかのようだった。