そもそもの元凶は… 2つの修羅場にモヤモヤが残ったワケ。ハッピーエンドはあり得るのか?『わたしの宝物』第9話考察レビュー
text by 西本沙織
松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送中。本作は、「托卵(たくらん)」を題材に、”大切な宝物”を守るために禁断の決断を下した主人公と、その真実に翻弄されていく2人の男性の運命を描く愛憎劇だ。今回は、第9話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
美羽(松本若菜)の決意
すべての真実が明かされたとき、それぞれが選択する未来とはーー。最終話まで残すところあと1話となった『わたしの宝物』第9話。
莉紗(さとうほなみ)に冬月(深澤辰哉)との不倫を追及される美羽(松本若菜)。「薄汚いただの不倫でしょ?」「みっともない」と次々と非難を浴びせる莉紗は、冬月に想いを受け取ってもらえなかった自分と“大切な人”として彼のなかに君臨し続ける美羽を比べ、ただ八つ当たりしているようにしか見えない。
そんな莉紗の心ない言葉に対し、美羽は厳しく迫る。「さっきから何をおっしゃってるんですか?」と口火を切った彼女は、莉紗以上に圧が強く別人のよう。
最後まで不倫を認めなかったのは、自分の保身のためにしらを切ったというより、冬月を守るためにあえて“悪女”を演じたというニュアンスに近い。
莉紗の冬月への想いを知って放った「冬月さんとどうかお幸せに」のセリフは、どこか挑発的でもあった。たくさんのことを間違った自分は冬月を幸せにすることは叶わないから、わざと莉紗を焚き付け距離をとらせようと考えたのかもしれない。
誰にも頼らず生きることを決めた、美羽自身の決意の表れでもあるのだろう。