視聴者の想像力に働きかけることで忘れがたい傑作に

『光る君へ』最終話より ©NHK
『光る君へ』最終話より ©NHK

 道長の死後に旅に出たのも、自らを縛るもの全てから漸く解放されたとも見える(もちろん道長への想いは抱き続けているが)。ラスト、まひろと乙丸(矢部太郎)がどこへと旅立ったのかは、誰にも分からない。すべては視聴者の想像に委ねられた。

 まひろは「その方が面白いから」と、菅原孝標女・ちぐさ(吉柳咲良)に「源氏物語」の作者は自分だと名乗らなかったように、きっと旅先で出会う人たちにも名乗ることはしないだろう。

 自身が書いた「源氏物語」からさえも解き放たれたまひろはどこまでも自由だ。そして我々視聴者が想像する「物語の先」もまた自由である。この余韻のある結末によって、私たちを何度でも『光る君へ』の世界へと連れて行ってくれる。この結末によって真に視聴者の心に残る作品となったのだ。

(文・アサカシキ)

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