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松下洸平の無表情からすべてが伝わる…8話かけてじっくり描いた”牧野”の成長とは?『放課後カルテ』第9話考察レビュー

text by まっつ

松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンドラマ。今回は第9話のレビューをお届けする。(文·まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

患者のために”嘘”をつく牧野(松下洸平)

『放課後カルテ』第9話©日本テレビ
『放課後カルテ』第9話©日本テレビ

 残すは最終話のみとなった『放課後カルテ』(日本テレビ系)。14日の第9話をもって牧野(松下洸平)の成長物語は区切りを迎えた。

 そもそも医師として小学校の保険医となった牧野は“変わらないこと”がひとつの魅力だったように思う。患者が子供であろうと大人だろうと目線は変わらず、真摯に向き合って事実を伝える。

 口は悪いし、ぶっきらぼうだが、「助けたい」というまっすぐな思いがきちんと伝わってくるからこそ私たちは牧野から温かさを感じ、作中の児童も信頼を寄せてきた。

 実際に牧野が「優しさ」を意識しているかはわからない中、9話を迎えていたが、心疾患を抱える直明(土屋陽翔)への言葉から確かな成長を感じ取ることができる。弟の手術に不安を隠せない啓(岡本望来)に対して「医療に絶対はない」と漏らした牧野。

 しかし、直接顔を合わせた際、手術に不安を抱える直明に「お前は治る。直明は治る」と“絶対”という言葉を使いながら背中を押したのだった。

 言った直後から後悔の表情を浮かべていた牧野。医療の世界に「絶対」はないわけだし、これまで常に真実を伝えてきた牧野が結果的に“嘘”を言ったことになる。しかし牧野の姿を見て責める者はきっとどこにもいないはず。

 自身の信念を曲げてでも、直明が求める言葉を口に出した牧野は子供にどう寄り添うべきかをここまでの8話で学ぶことができたようだ。

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