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今度は、洸人の番

『ライオンの隠れ家』第10話©TBS
『ライオンの隠れ家』第10話©TBS

 その頃、美路人は自分のルーティンとは異なるグループホームでの生活をがんばっていた。自分から志願したことではあるけれど、不安も多かったのだろう。部屋には、愁人と一緒に描いた絵が飾られていた。

 同僚の小野寺(森優作)から不安になるような話も聞かされながら、美路人は無事に帰ってきた。そして、美路人が選んだシマウマ柄のパジャマを着た“ライオン”のプライドへの帰還を喜ぶ。

 柚留木は罪を償うために警察へ行くことにし、愛生は退院後に洸人たちと一緒に住むことになった。寅吉(でんでん)が持ってきた蟹をみんなで食べる様子は、「こんなに幸せでいいのかな」と愛生がもらしたように、有終の美といって差し障りない幸せなシーンだった。

 しかし、洸人が祥吾と対峙したときに吐露したことがまだ解決していない。

 朝起きると、愛生が朝食を作り、洗濯を済ませていた。美路人の見送りも愛生がしてくれた。夜、大学生ぶりに飲みに行っても、美路人に送ったメッセージは既読にならない。翌朝、昼過ぎまで寝て、カップラーメンを食べた後、洸人は姿を消してしまった。

 これまで、美路人と穏やかに暮らすことだけを考えて生きてきた洸人の目の前に、ぽっかりと自由が生まれた。それは、いまの洸人にとっては生きる意味を見失うようなもの、困惑を伴うものだった。

 もちろん美路人は、洸人が突然姿を消したことで混乱する。家族として洸人を必要としているからこそだ。

 愁人が帰って来てハッピーエンドにもできたはずなのに、『ライオンの隠れ家』はそれをしなかった。これまでの10話で、愁人も愛生も柚留木も、これまでとは違う場所に足を踏み入れていく様子が描かれてきた。祥吾もある意味そうだ。今度は、洸人の番。ヤングケアラーとして、長年、美路人の面倒を見てきた洸人は、いったいどんな場所へ向かうのだろうか。

(文・あまのさき)

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【了】

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