第1話冒頭を彷彿とさせるラスト
道長も最期は誰にも看取られることなく、まひろを求めるように手を伸ばしたまま1人で旅立った。同じ日、道長を慕っていた行成も逝き、その事実を日記に綴る実資(秋山竜次)の頬を一筋の涙が伝う。恨まれることも多かった道長の人生だが、その死を心から悼んでくれる者たちがいたことは唯一の救いだ。
まひろも苦しみこそすれ、道長と最後の時間を過ごせたことで幻を追いかけずに済んだ。ラストは乙丸(矢部太郎)とともに再び自由を求めて旅へ。そこで再会を果たすのが、双寿丸(伊藤健太郎)だ。数人の武者たちを引き連れた双寿丸は「東国で戦が始まった。これから俺たちは朝廷の討伐軍に加わるのだ」とまひろに説明した。彼がこの物語において、どういう位置付けのキャラクターなのか、今ならわかる。双寿丸は武士の時代の訪れを象徴する人物だった。
そんな双寿丸を見届けた後、「嵐が来るわ…」という、第1話冒頭で晴明(ユースケサンタマリア)が放った「雨が降るな。雨だ。大雨だ」を思わせるまひろの台詞で締めくくられた本作。いつの世も波乱に満ちているということだろうか。
放送後の『光る君へ紀行』では、紫式部の死後、「源氏物語」は手書きの写本によって伝えられ、江戸時代になり木版印刷による本が広く出回ると庶民にも身近な読み物となったことが語られた。来年から始まる大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の主人公・蔦屋重三郎 (横浜流星)は吉原で貸本屋を営んでいたという。もしかしたら、そこに「源氏物語」も出てくるやもしれない。
(文・苫とり子)
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