蘭子(加藤小夏)がついた優しい嘘
「何もかも思いどおりになるなら、誰も嘘なんかつかない。思いどおりにならないものを、思いどおりにしようとしたとき、嘘をつく」と左右馬(鈴鹿央士)も言っていたが、本当にそのとおりだと思う。
嘘をつく人のなかには、“こう思われたい”という願望が潜んでいるわけだが、その願望がマイナスの力を持っていると、嘘をつく方もつかれる方もしんどくなってしまう。どうせ嘘をつくのなら、周囲を幸せにするような優しい嘘をつきたい。
最終話に登場した蘭子(加藤小夏)がついたのも、優しい嘘だったように思う。「行き場所も、お金もなくて困っていたら、祝探偵事務所の大家に会い、事務所に住んでいいと言われた」と、左右馬のもとに突然押しかけてきた蘭子。
しかし、彼女が自分のパーソナルな情報を話すたびに、鹿乃子の耳には金属を叩いたようなキーンとした音が鳴り響く。彼女は、一体何者なのか…。
蘭子が、「あの人の心が、わたしのものじゃなくても、そばにいられるだけでいいって思ってたんだけどね」と切なそうに語っているところを見た鹿乃子は、失恋をして家出をしたのではないか?と推理をする。
その推理は、見事に的中。身寄りがなく、幼いころから槇原家で住み込みの女中をやっていた蘭子は、その家の令嬢・鈴乃(兼光ほのか)と、本物の姉妹のように育ってきたらしい。しかし、蘭子は鈴乃と柾(福山翔大)の結婚を知って、何も言わずに姿を消してしまった。
すると、「蘭子も柾のことが好きだったのかもしれない…」と不安になった鈴乃が、「蘭子さんが苦しむくらいなら、柾さんとの結婚をやめる」と言い出した(鹿乃子の耳に嘘の音が聞こえなかったため、本音だったのだろう)。