二人で一つの傘を持っていれば、人生に雨が降っても前に進める

『マイダイアリー』最終話 ©ABCテレビ
『マイダイアリー』最終話 ©ABCテレビ

 広海は「こうやって二人で一つの傘を持ってれば、人生に雨が降ってるときもちゃんと前に進める」と、優希と一つの傘の下で歩きながら話す。雨の中、一人で傘をさして歩いていると憂鬱に思っても、大切な人と二人で一つの傘を持って歩いていると、その時間は憂鬱ではない。ひとりでいれば気楽だし、相手に気遣う必要もないし、心傷つくこともないが、二人だからこそ得られる幸せや感じられる喜びはある。

 虎之介は「広海はさ、人生に雨が降っている時に、恩村さんに会ったんじゃないかなって思うんだよね」と優希に話していたが、彼は優希に出会ったことで、かつての挫折を乗り越え、人と一緒にいることの楽しさにもあたたかさにも気づけた。広海は「距離は離れても僕は優希のこと一人にさせない」と伝え、もう一度一緒に生きてほしいと彼女に思いを伝えたが、この台詞には彼の成長があらわれている。かつての広海は優希や虎之助たちと距離的に離れることを極端に恐れていたが、今は心の距離を信じられるようになったようだ。

 また、まひると虎之助の関係にも進展があった。虎之助はまひるに“推し”と言われたことを気にしていたが、推しは全然悪い意味の言葉ではないと考えを改めた。彼は推しとの関係を内面には入りたくない、適度な距離感でいたいものと考えているため、まひるの返答に落ち込んでいたのだ。虎之介は「和田虎之介を和田虎之介として見る。そっから始めらんないかな。俺たち」と、まひるに伝えた。まひるも人間関係で傷つき、推しという“距離がある存在”に夢中になっていたが、虎之介という実際に手を取り合える人に出会えた。

 この世界は残酷で、人びとはいがみ合っていると時々思うことがある。また、多くの人が自分の幸せを何よりも望んでいる。しかし、本作を通してあたたかな優しさに包まれた世界も存在することが分かった。優希は「優しさって交換するものじゃなくて、循環するものって思えたらいいよ」と、広海に話していた。本作は優しさが循環している世界だと思う。登場人物たちは優しさの見返りを求めるのではなく、相手のことを大切に思い、相手の力になりたいと思っている。だからこそ、それぞれの人たちの顔に笑顔が浮かんだのだろう。また、どのような世界で生きるにしても、一人よりも二人以上の方がよいのかもしれない。

1 2 3 4
error: Content is protected !!