あの前原瑞樹が端役で終わるはずがなかった…鉄平の日記が黒塗りされた理由とは?『海に眠るダイヤモンド』第8話考察レビュー
text by 苫とり子
神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送中。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
一変した端島の人々の暮らし
1964年に発生した坑内火災は、端島の人々の暮らしを一変させた。火災を食い止めることはできず、炭鉱長の辰雄(沢村一樹)は深部区域の水没放棄を決定。石炭が取れなくなった端島からは別の就職口を求める多くの鉱員とその家族が去っていった。
残った者たちも希望を失い、酒浸りの生活を送る鉱員も。鉱員たちの給料で成り立っていた娯楽施設も経営が立ち行かなくなり、映画館の館長である大森(片桐はいり)や職員クラブの管理人・町子(映美くらら)も島を出ることになる。以前の活気は失われ、端島全体が重い空気に包まれていた。
そして何より、荒木家は進平(斎藤工)という何にも代え難い存在を失った。あれから一酸化炭素中毒で倒れた進平は仲間に助け出され、すぐに病院へ運ばれたが、そのまま息を引き取ったという。
進平が坑内で1人眠り続けることなく家族のもとに帰れ、最後のポンプを止める作業を担った鉄平(神木隆之介)も自分を責めずに済んだことに少しだけ安心した。けれど、家族にとってはそれが良かったかどうかは分からない。もしかしたら生きているかもしれないという、一縷の望みも打ち砕かれたということだから。