斎藤工が醸し出す深みのある色気
本作で、斎藤工は出世作となった『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系、2014)からさらに深化した色気を見せた。それはきっと齊藤が年齢を重ねた渋みと、これまで演じてきた役によって培われてきた深みによるものだろう。
色気と、渋みと、深みと。これらによってつくり出された斎藤工の進平は、多くを語らずとも、人生へのある種の諦念を持った状態から生にこだわるまでのグラデーションを雄弁に表現していた。だからこそ、“ロス”が叫ばれるほどに、彼が魅力的なキャラクターに昇華されたのだろう。
リナのもとに誠という新たな命を残しこそしたものの、結局はまた、リナに愛する人に先立たれる哀しみを味わわせてしまった進平。しかし、リナは誠を連れ、鉄平とともに端島を出て行こうとしている。死してなお、進平の影を感じながら、『海に眠るダイヤモンド』の最終話を見守りたい。
(文・あまのさき)
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