宏樹(田中圭)がさらけ出した本音
宏樹に会うため喫茶店を訪れた冬月は、自分は栞の父親ではないと伝える。大切な人の幸せのためなら、自分は身を引く。マスター・浅岡(北村一輝)が言うように、他人のことばかりで本音を置き去りにしてきた冬月と宏樹は、ある意味似た者同士だったのだろう。
宏樹が栞の父親として過ごしたのは半年間。でも、その時間はきわめて濃く、重い。本当の父親であっても、冬月は生まれたての栞を抱いたときの涙を流してしまうほどの温もりも、彼女がどのように笑い、泣いて育ったのかも知らない。
栞が愛らしく、元気に育っているのは、美羽と宏樹が時間をかけて愛情を注いできたから。血の繋がりだけが“親子”ではないことを、冬月は宏樹に真摯に訴えた。
「あなたはどうですか?」まるで本音を引っ張り出すかのような冬月の言葉が、宏樹を走らせる。離婚届を出しに行く美羽を呼び止め、「美羽と一緒にいたい」と本音を曝け出す。
宏樹が美羽を苦しめた過去や美羽が犯した罪は消えないが、すべての痛みをひとりで背負わなくてもいいし、ときには夫婦で分かつことだってできる。宏樹の言葉に触発されるように、美羽も「一緒に栞を幸せにしたい」と本心を明かし、2人はもう一度“家族”としてやり直すのだった。