なぜ『光る君へ』は大成功を収めたのか? 女性層から愛される大河ドラマになったワケ。稀有な魅力を徹底解説
text by 西田梨紗
『光る君へ』(NHK総合)が12月15日に最終回を迎えた。これまでの大河ドラマとは一線を画した内容で支持を集めた本作は、配信サービス「NHKプラス」で歴代最高の平均視聴者数を記録、終了しても尚、勢いは止まらない。そこで今回は『光る君へ』が特別な作品になった理由を複数のポイントから解説する。(文・西田梨紗)
——————————
【著者プロフィール:西田梨紗】
アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。
純愛と挑戦の物語
先日有終の美を飾った『光る君へ』。それまで大河ドラマに親しんでこなかった新たな女性ファンを獲得し、大河ドラマに新しい風を巻き込んだことから、大方から“成功作”と目されている。確かに、本作には女性の心をとらえるシーンが散りばめられていたし、事あるごとに“少女漫画”のようだとSNSで話題になり、親しまれる作品となった。
さまざまな人間の感情が複雑に絡まっているという点では、本作のモチーフになった紫式部の「源氏物語」を彷彿とさせる。加えて、本作はまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の純愛物語であり、少女漫画のような雰囲気を感じさせる一方、ふたりが世の歪を正すために手を取り合って目標達成のために邁進する…という点では少年漫画のようでもあった。