ドラマを象徴する意外な人物のセリフとは? 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の玲央のオチが秀逸だったワケ。最終話考察
text by 苫とり子
神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)が完結を迎えた。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、最終話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
意味のないことは1つもない
「意味のなかことは1つもありません。よかことも、悪かことも、すべてね。すべてを抱えて、一生懸命、生きていく。それが人間たい」
和尚(さだまさし)の言葉に、この物語の伝えたいことが集約されているような気がした『海に眠るダイヤモンド』最終回。
2時間スペシャルだけあって、整理しきれないほどの情報が詰まっていたが、最も視聴者に衝撃を与えたのは、いづみ(宮本信子)の秘書である澤田(酒向芳)の正体ではないだろうか。澤田は、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)の息子・誠だった。そんな澤田がある理由で社長室の金庫に隠した鉄平(神木隆之介)の11冊目の日記から、いづみが知らなかった真実が明らかとなる。
1965年、鉄平から「話がある」と呼び出された朝子(杉咲花)。新区域から石炭が出た矢先のことで、「石炭が出たら“必ず”」という、あの約束が頭をよぎったことだろう。だけど、鉄平は待ち合わせ場所に現れず、それっきり会うことはなかった。
いつもはつけていないイヤリングを耳に輝かせ、笑顔で鉄平を待つ朝子の姿が切ない。