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いずれは誰かの人生を輝かせるダイヤモンドへ…。

『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS

 鉄平は各地を転々としたのち、長崎に一軒家を購入し、ボランティアとして老人の話し相手をしたり、一緒に花札をしたりしていたという。その家は鉄平の死後、長崎市に寄贈され、現在は町の人の憩いの場となっていた。いづみが庭に出ると、そこには端島を臨むコスモス畑が…。

 朝子と結婚した暁には、集合住宅でギヤマンの花瓶に季節ごとの花を飾って、ともに愛でながら歳を重ねていく。おそらく鉄平が思い描いていたであろう幸せは叶わなかった。

 それは、この3ヶ月間、2人を見守ってきて他人とは思えなくなった私たち視聴者にとっても悲しいこと。だけど、この庭で端島で暮らした日々に思いを馳せ、朝子が好きだったコスモスが咲くたびにその幸せを祈りながら、外勤だった頃のように人の世話を焼く毎日も鉄平は楽しんでいたのではないだろうか。そう思いたい。

 楽しい思い出も、悲しい記憶も、罪も愛も、植物の死骸が長い年月をかけて石炭となるように、いずれは光り輝くダイヤモンドとなって誰かの人生を輝かせる。

 それに気づいた時、安心して生きていける気がした。いづみのように、「気張って生きたわよ」 とかつての自分に胸を張って言える日まで。

 過去の映像を見返したら、鉄平と玲央が全然似ていなかったというオチも良かった。いづみが玲央と出会った時に他人とは思えず、つい声をかけてしまった、その感覚こそが大事なのだと。

 ツアーガイドの仕事に就き、知らない土地を回る玲央は「もしかしたら、ここにも鉄平がきてたのかもしれない。そしたら誰も他人に思えなくてさ。もしかしたら、鉄平が声をかけた人かもしれないし、その子供かもしれないし、孫かもしれない」といづみに語る。

 一島一家、隣人愛。その精神が息づく、暖かな作品だった。

(文・苫とり子)

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【了】

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