何気ないはずのセリフが刺さる…『ライオンの隠れ家』が描いた成長と希望とは? ドラマの感動を後押しする2本の映画とは?
text by 望月悠木
12月20日(金)の放送で最終回を迎えたドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)。登場人物が前を向いて歩みを始めるラストは、後日談を期待したくなるほどの余韻を残す素晴らしいものだった。本作の感動を押し上げた要因を改めて語りたい。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
——————————
【著者プロフィール:望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題、サブカルチャーに関する記事の執筆を手がけています。今知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けています。(旧Twitter):@mochizukiyuuki
何気ないセリフのはずなのにグッとくる…。
『ライオンの隠れ家』(TBS系)最終回では、主人公・洸人(柳楽優弥)が大学進学を決断する。洸人はもともとは東京の大学に通っていたものの、両親の事故死をきっかけに、自閉スペクトラム症を持つ弟・美路人(坂東龍汰)のことを思い、中退して茨城県の実家に戻ってきた過去を持つ。
中退したことが長年心残りだった洸人は「お兄ちゃん、東京の大学に行って勉強し直そうと思う。家を出て東京で一人暮らしをしようと思うんだ」と伝えると、美路人はそれを了承した。美路人も自立するために、グループホームへの入所を自ら決めた。
洸人は東京へ、美路人はグループホームへの出発日、実家に残る異母姉弟の姉・愛生(尾野真千子)に対して、洸人は「じゃあ、あとはよろしく」と口にして家を後にする、というラストシーンだ。
最終回冒頭で、美路人の迎えに行こうとするも頭痛のために玄関で座り込んでいる母親・恵美(坂井真紀)から「みっくんのお迎え、代わりに行けない?」と洸人が頼まれる回想シーンが流れたように、これまでの洸人の人生は、どんなにささいな選択でも美路人の存在が隣り合わせだった。
これまでのストーリーでも“洸人のヤングケアラー・きょうだい児としての事情”は色濃く描かれていただけに、最終話で洸人が自分の道を自分で選択できるようになったこと、加えて「あとはよろしく」と誰かに何かを任せられるようになったことにはグッときた。