「あなたにとって幸せってなんですか?」

『モンスター』第10話 ©カンテレ
『モンスター』第10話 ©カンテレ

 響いたのは亮子の「あなたにとって幸せってなんですか?」という問いかけだ。

 世間の空気に乗っかって帝東電機を追求し、賠償金を得た住民たち。さらに帝東電機の謝罪が足りないと責め立てる。

 悪いと思っているなら誠意を見せろ、つまりはお金だ。亮子にまで「弁護士の仕事はどれだけお金をとれるかだろう!」とまで言い出す始末。しかし、亮子は「どれだけお金があれば豊かだと感じるんですか?」と畳みかけていく。

 住民たちは、もしかしたら今後、体を悪くするかもしれない。治療、入院となればお金がかかってくる。だから賠償金は必要だろう。が、それが幸せや豊かさにつながるかというと…。

 弁護士ものというと、無罪を勝ち取るだとか、今回のようにいかに相手からお金をとるか、ということにポイントを置いた物語になることも多いかと思う。しかし、本来は人が幸せに暮らすためのサポートとして弁護士がいるのではないかと改めて考えさせられた。

 とはいえ、自分にとって幸せは何なのか、本人が分かっていなければ、弁護士だってどうしようもできない。亮子はそんな根本的なところを問いかけ、そしてどんな弁護士よりも、人の幸せについて考えている人だったのではないだろうか。

 際立ったのは終盤の粒来と亮子のオセロのシーン。どこにでもある日常的な光景だが、でも、こういう時間が幸せということではないだろうか。

 あまり多くを望むなとは言わない。ただ、「幸せとはなんなのか」。今のような時代だからこそ、改めて自分に問いかけてみてもいいのかもしれない。

(文・ふくだりょうこ)

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