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キャストが確かに端島で生きているのを感じた…『海に眠るダイヤモンド』もっとも忘れられない神シーンは? 考察レビュー

text by ばやし

22日の放送をもって完結した日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を対照的に描いた本作は、多くの反響を呼び、「日曜劇場」の歴史にまた新たな名作が刻まれた。本作の魅力を振り返りたい。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

我々は、あの端島の風景を鮮明に思い出す――。

『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS

 私は端島に暮らした当時の人々を知らない。石炭を掘り出すために絶え間なく稼働する炭鉱の風景も、仕事終わりに食堂に集う鉱員たちの姿も、実際にその目で見たことはない。

 それでもドラマ『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)で映しだされた端島の生活は、70年前の出来事とは思えないほど身近に感じられる。当時から綴られた日記を擦り切れるほど読みこんだあとのように、頭のなかで端島の風景を鮮明に思い出すことができる。

 それほど脚本家・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子らによって産み落とされた物語は、現代の視聴者を当時の端島へと誘ってくれた。

 どこか重苦しい空気が漂う2018年の東京と、70年前の高度経済成長期まっただなかにある長崎県・端島。異なる時代、異なる場所を舞台に、悠久の時を経て受け継がれる愛と友情、家族の絆が描かれた『海に眠るダイヤモンド』は、間違いなく「日曜劇場」の歴史に刻まれる作品となった。

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