芸人たちの演技が神がかっていた
キャスティングも秀逸で、特に本作は芸人たちの演技が神がかっており、視聴者に千年以上も昔の親しみを持たせるのに一役も二役も買っていた。
特に話題を集めたのが、藤原実資を演じたロバートの秋山竜次だ。さすがのなりきり具合で、平安貴族を演じていても全く違和感がなく、要所要所で顔芸を披露しては私たちを大いに笑わせてくれた。だが、ただの面白キャラではなく、常に冷静かつフラットな視点で状況を見極め、必要とあらば自分より位が上の人間にも恐れず意見する優れた政治家だった実資。その矜持を感じさせる秋山の熱演に痺れた人も多いだろう。
まひろの従者である乙丸を演じた矢部太郎の好演も光った。ちやはを守れなかったことで自分を責め続け、せめてまひろだけは守ろうと精一杯尽くしてきた乙丸。側からはまひろに振り回されているように見えるが、その実、しっかりと手綱を握っていて、何度もまひろが危険な目に遭うのを回避してきた。そのまひろに対する深い愛情と芯の強さが矢部の佇まいから滲み出ていたように思う。