ドラマ『わたしの宝物』がもたらした衝撃とは? 松本若菜、田中圭、深澤辰哉がみせた演技の魅力を深掘り解説
text by 柚月裕実
12月19日に最終回を迎えた松本若菜主演ドラマ『わたしの宝物』。“托卵”をテーマに、松本演じる美羽と、田中圭が演じる夫の宏樹、そして深澤辰哉演じる美羽の幼なじみ・冬月稜の複雑な関係を描いた本作。本稿ではキャスト陣の演技を中心にドラマを振り返ってみたい。(文・柚月裕実)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:柚月裕実】
エンタメ分野の編集/ライター。音楽メディア、エンタメ誌等で執筆中。コラムやレビュー、インタビュー取材をメインにライターと編集を行ったり来たり。SMAPをきっかけにアイドルを応援すること四半世紀超。コンサートをはじめ舞台、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオ、YouTube…365日ウォッチしています。
“托卵”をテーマに描かれた『わたしの宝物』
本作は、2014年放送『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』、2023年『あなたがしてくれなくても』に続く3部作として、三竿玲子プロデューサーが手がけた作品で、夫以外の男性との間にできた子どもを、夫との子と偽って産み育てる“托卵”をテーマに、神崎夫婦と冬月を中心に人間模様を描いた。
初回から夫婦関係のもつれ、幼なじみとの再会、そして妊娠発覚、冬月の事故の一報と、怒涛の展開で視聴者を釘付けにした。
お互いに好きあって結婚した美羽と宏樹。しかし夫婦としてどれだけ年数を重ねようが、必ずしも成熟していくものとは限らないーー。家庭に入った美羽が子どもを望むも、宏樹からのモラハラが続く日々。その姿は、劇中に登場する鳥かごの中で羽ばたけずにいる鳥のようだった。
そんな中、美羽の前に救世主のごとく現れたのが幼なじみの冬月。淡い思い出を手繰り寄せながら、急接近する2人。同時期に宏樹からは強引に、そして冬月とは惹かれあい……美羽の妊娠が発覚。それは火遊びというもので片づけられるものではなく、どこか使命感に駆られたような美羽は、産むことと同時に“悪女”として生きる覚悟を決めたのだった。