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“悪女”・松本若菜

『わたしの宝物』最終話 ©フジテレビ
『わたしの宝物』最終話 ©フジテレビ

 掃除が行き届いた部屋からも伝わるように、妻としてきっちり役目を果たしていた美羽。挨拶一つ返さない宏樹に、それでも柔らかい笑顔を浮かべて気を遣い、一方で静かに心が死んでいく…。そこへ事故の一報と、“托卵”を決意するのに、視聴者も納得してしまうような条件が重なっていた。

 妊娠、DNA検査の結果と、節目節目で美羽の覚悟が見えてきた。当初は空白だった母子手帳の“父親”の欄に宏樹の名前を記し、第3話の前半では、宏樹に子の名づけを依頼。冬月との思い出のしおりを母子手帳に挟んだところで表情を変えた。妊娠出産を経て、ここから先は悪女として生きる、そんな覚悟を決めた表情がインパクトをもたらした。

 言葉にしなくても心の中で固く誓い、張り詰めていた糸がブチンと切れる音が聞こえてきそうなほど、松本の演技には静かな迫力があった。

 前クールでは火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)で、明るく前向きな西園寺一妃役が好評だっただけに、そのイメージをガラリと変え、雰囲気を一変させた芝居のふり幅はお見事だ。役柄は悪女ではあったものの、松本の出演作には見ごたえがあり、今後の出演作が待ち遠しい。

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