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深澤辰哉とストーリーの整合性

『わたしの宝物』第9話 ©フジテレビ
『わたしの宝物』第9話 ©フジテレビ

 冬月を演じた深澤は、これまで様々な舞台でキャリアを積んできたが、約10年ぶりの地上波ドラマへの出演となったのが2023年10月期放送『今日からヒットマン』(テレビ朝日)。以降、今年1月期放送『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)では、奈緒が演じる主人公の友人役として出演と、ドラマへ帰ってきたのはこの1年ほどだ。

 視聴者の中には、バラエティの印象が強く、3番手としての活躍ぶりが新鮮に映った人もいたのではないだろうか。

 冬月のプロフィールには「彼女が辛い思いをしていると必ず現れて寄り添ってくれる、心のより所のような存在」とあるように、優しさ溢れる笑顔と佇まいで美羽を包んでいた。フェアトレード会社経営という仕事からも伝わってくるが、“人のために”と高い志を持って動ける人だ。

 大きく話題を集めた第9話のタイトルバック明けから始まった宏樹と対峙するシーン。約3分50秒ほどの中で、美羽を苦しめた相手を許さないと言わんばかりの目つきに始まり、声が震えそうなほどに心拍数があがっている様子。胸ぐらをつかまれても怯まない姿からは正義感が滲み、そして栞と血縁関係について何も知らなかった衝撃…。

 水木莉紗(さとうほなみ)に、声を荒げてきつく当たってしまう場面からは、言葉以上に悲痛な胸の内が伝わってきた。冬月から次第に笑顔をなくしていく過程、どんなことがあっても常に相手を思いやる姿勢。そんな冬月を演じるにあたって、深澤がまっすぐに役と向き合い、自身を重ねながら演じたことが感じられた。誠実さや素直さ、初々しさのある芝居がストーリーにマッチしていた。

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