恐ろしいほどの“魔性の女”
土屋太鳳
鉄平の幼なじみで鷹羽鉱業の職員の娘・百合子を演じた土屋太鳳。基本的に気が強く高飛車、一見悩みなどない自由奔放なお嬢様のようなキャラクター。鉄平や朝子を振り回す言動は「魔性」としか言い表せられないほどの魅力を放っていた。
特に1話で朝子に「鉄平が帰るっていうから付いてきちゃった」と悪戯な表情を浮かべるシーンは恐ろしさすらあった。しかし、その心の内には誰にも言うことができない大きな傷を抱えていた。その傷が長崎の原爆に巻き込まれた被爆者という一面もある。この圧倒的な「陽」の部分と、視聴者が目を塞ぎたくなる「陰」の部分。
「神も仏もね、何にもしないとよ。何かするのはみんな人間のわざ。人を生かすも殺すも、みんな人間がすることよ」
この和尚のセリフを真っ直ぐに受け止められる役者が何人いるだろうか。百合子を完璧に演じることができるのは土屋太鳳をおいて他にはいなかった。