「美しい」としか言いようがない演技
宮本信子
生きることの意味さえ失いかけていた玲央に声をかけた謎の女性・いづみを演じた宮本信子。序盤は百合子、リナ、朝子のうちの誰がいづみなのか、ということが物語の中心になっていた。しかし、その正体は朝子だということが明らかになると、完全に「そう」としか見えなくなった。
正体の発覚後、私は1話からいづみを「朝子」として改めて見たのだが、いづみを作る全てが朝子そのもので震え上がった。朝子の「髪に耳をかける」仕草のリンクなど、これは脚本、演出の妙もあるが、間違いなく宮本信子の演技があってのものだろう。
そこに立っているだけで、役が歩んできた人生の背景を感じ取ることができる深みのあるセリフ回しや表情の機微は「美しい」としか言いようがない。