ここ数年でも屈指の傑作…King Gnuの「ねっこ」が紡ぐ神木隆之介”鉄平”の生き様とは?『海に眠るダイヤモンド』考察
text by 苫とり子
22日の放送で完結を迎えた日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした壮大な物語である本作は、多くの人を感動を渦に巻き込んだ。傑作と呼び声高い本作の魅力を改めて語りたい。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
ここ数年の中でも指折りの傑作
この1年、いや、ここ数年の中でも指折りの傑作と言ってもいいのではないだろうか。脚本家の野木亜紀子が、『アンナチュラル』(2018、TBS系)、『MIU404』(2020、同局)、『ラストマイル』(2024)でタッグを組んだプロデューサーの新井順子、監督の塚原あゆ子とともに紡いだ約70年にわたる壮大な物語がついに幕を閉じた。
2018年、東京の歌舞伎町で荒れた生活を送っていたホストの玲央(神木隆之介)。そんな彼の前に突如現れ、「人生、変えたくないか?」と問うたのは謎の女社長・いづみ(宮本信子)だったー。
当初、玲央は金払いのいい彼女を太客にするつもりで近づき、誘われるがまま長崎を訪れる。2人はフェリーに乗り込むが、廃墟となった“軍艦島”こと端島を前に泣き崩れるいづみ。
本作は、そこからいづみが端島で過ごした青春時代を回顧するとともに、彼女の初恋の人である鉄平(神木隆之介/二役)の日記を通して知る彼の生き様が、玲央に影響を与える構成となっていた。その構成は言わずもがな、物語のスケール感、キャストの豪華さからも日本版『タイタニック』と呼びたくなる。