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King Gnuの「ねっこ」が紡ぐ鉄平(神木隆之介)の生き様

『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS

 そんな私たちに本作が見せてくれたのは、大地を攫っていくような突風に晒されても、誰かへの想いに根を張って逞しく生きる人々の姿だった。

〈ささやかな花でいい 大袈裟でなくていい ただあなたにとって価値があればいい〉と歌う主題歌「ねっこ」(King Gnu)は、鉄平の生き様そのものだ。大きな夢を描ける時代にあって、いづみ=朝子(杉咲花)とのささやかな幸せを願っていた鉄平。

 だが、炭鉱の事故で亡くなった兄・進平(斎藤工)の罪と、彼が守ろうとしていたリナ(池田エライザ)と誠の人生を引き受けることを決めた彼は、それさえも手にすることができなかった。

 リナが端島に来なければ、進平が人を殺さなければ…そんなたらればが、頭をよぎる人も少なからずいるだろう。誠=澤田(酒向芳)だって「自分が生まれてこない方が良かったんじゃないか」と思ったことは一度や二度じゃないはず。

 そんな彼に、「あなたたちがいたから、この家族に会えた。あなたが生きてて、また会えて、良かった」と“赦し”を与えるいづみを見て、タイムパラドックスの話が頭に浮かんだ。

 もしも日記を読み進める中で鉄平の朝子に対する思いを知った玲央が、過去にタイムスリップできたとしたら、2人が生き別れになる運命を変えられるかもしれない。だけど、そしたら朝子は虎次郎(前原瑞樹)と結婚することもなく、子供や孫も生まれなかった。

 それどころか、遺伝子検査の結果、朝子と血の繋がりがないことが判明した玲央でさえも、もしかしたら別のところで人生が繋がっていて、生まれなかったかもしれないのだ。

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