ゲスト出演・高嶋政伸の演技の凄み
2つ目の見どころは、高嶋政伸が演じた桧山弘一の人間臭さだ。
桧山は国民的ニュースキャスターとして正義を持って熱く世間に訴えかけて支持を得る一方で、警備員の名前を覚えてフレンドリーに接するまさに好漢と呼ぶべき人物だ。
しかし実は桧山は経歴詐称をしており、更に裏では不倫もし、おまけに伊地知による性被害事件を知るもそれを告発せずそれを脅しの道具として利用してしまった。
とはいえ、人々に明るい良いニュースを届けたいという想いは真実。娘を守る為に自らの地位を全て犠牲にする優しさも持っていた。
どうしようもない男ではあるが手法こそ間違っていても正義感は間違いなく、下請けの人々にも優しかったりするのは打算などもない素の人格でもあった。
地位も名誉も失った桧山だが娘を守り妻も帰ってきた事だけは唯一の救いと言っても過言ではない。
また桧山を演じた高嶋の迷い悩み追い詰められる表情は芝居と分かっていても鬼気迫るものがあり、最後に視聴者に語りかける場面も表情や声色を巧みに変化させて、キャラクターの真摯な一面を雄弁に伝えていた。
桧山が極悪人に見えなかったのは、高嶋の熱演の賜物だろう。